「ワインを飲んで酷い頭痛に悩まされたのでワインが嫌いになった!」そう言ってワインを苦手にしている人本当に多いです。もったいないな~、といつも思っています。
そして、「酸化防止剤が入ったワインを飲むと翌日頭痛がする」だから「酸化防止剤無添加ワイン」を飲むという方がいらっしゃいます。私は酸化防止剤無添加のワインは余り美味しいと思ったことが無かったので聞き流していた。ところが、そんな方々が驚くような事実があるんです!
実は、最近ワイン会で知り合った方がYouTubeでこんな動画を配信していました。
気になりますよね。
実は最新のデータで、ワインボトルに記載されている「亜硫酸塩」とか「酸化防止剤」は頭痛や体の不調は、関連が無いことが報告されているそうです。私は酸化防止剤悪玉説の信奉論者だったので、びっくりして自分でも調べてみました。そしたら、本当でした。ビックリです。
ということで今回はワインと頭痛の関係についてです!
「ワイン不耐性」という言葉を知ってますか?
「ワイン不耐性」とは、ワインの中に含まれるある物質によって引き起こされる頭痛、吐き気、発疹、紅潮といった症状の事です。なんだ「二日酔い」のことか!と思われるかもしれませんが、全然違います。二日酔いは症状は同じように感じますが、アルコールが肝臓の機能によって分解された際に生じるアセトアルデヒドの毒性によることが分かっています。
今回、マスターオブワインであるソフィー・パーカー・トムソンの研究によって、「ワイン不耐性」の原因が「生体アミン」であり、その中でもヒスタミンが主因であると特定されました。「ワイン不耐性」=頭痛や体の不調の原因が、「亜硫酸塩含有」「酸化防止剤」とは関係なかったということになりました。
「ワイン不耐性」の原因「生体アミン」とは何?
じゃあ、その生体アミンってなんでしょう?「ヒスタミン」という物質を聞いたことありませんか?そうです、頭痛薬は抗ヒスタミン薬と分類されています。ヒスタミンの力を弱める薬ということです。
このヒスタミンは摂取量が多くなると強い毒性を示し、アレルギーや血圧低下、血管の拡張もしくは収縮などを引き起こす原因となります。 つまり、頭痛の原因になります。
実はヒスタミンは代表的な生体アミンなのです。ヒスタミンに代表される生体アミンがワインの中に有るため、そのワインを多く飲むと頭が痛くなるのです。実は私も先ほどの動画を見るまで知りませんでした。いつも知っている風に「悪い酸化防止剤が良くないんだよね~」などと解説していました。(マジで恥ずかしい・・・)
生体アミンは、ワイン中の微生物によって作られます。この微生物は亜硫酸の殺菌効果に敏感に反応することが知られていて、亜硫酸塩をほとんど使わないでワインを造るという流行はこれら生体アミン生成微生物にとって完璧に「生体アミン」を生成する環境を創り出していると言えます。
「生体アミン」は、体内に入ると過剰な生体アミンを排除しようとする特定の酵素によって分解されます。ところが、アルコールがこの酵素の働きを阻害するためアルコール飲料と共に生体アミンを摂取することで特に有害となります。もちろん、人によって生体アミンを分解する酵素量に差があります、人それぞれの個人差があるので概ね7~8%の方が何らかの症状が出るそうです。
ソフィー・トムソン・パーカーは100種のニュージーランド産ソーヴィニヨン・ブランを使って、異なるワイン醸造技術が生体アミンの含有量に与える影響を検証しました。すると、亜硫酸を全く添加しないか、醸造の終盤にのみ添加した場合には、ワインには敏感な人には何らかの反応が出るとされるほどの高濃度で生体アミンが含まれることが分かりました。
有害な微生物の増殖を阻害する亜硫酸塩を添加することを嫌う自然派ワインが現在流行しているため、現在はワ生体アミンを含んだワインが増えている可能性があります。考えたら恐ろしいですね。
亜硫酸塩のワイン醸造での役割と毒性
発酵前のブドウ果汁や発酵後や瓶詰後のワインの酸化を防ぐ役割
ワインの発酵中は、二酸化炭素が大量にワインに含まれるため酸化のリスクは減りますが、発酵の前後は酸化のリスクにさらされます。ワイナリーでは、ブドウ果汁の搾汁時にドライアイスの霧を噴霧したりして酸化のリスクを軽減し、出来るだけ亜硫酸を使わない様に対策をしています。
殺菌作用
果汁やワインには細菌や微生物が増殖する栄養分が豊富で、亜硫酸の持つ殺菌効果が有効に働きます。
次は亜硫酸塩の毒性です。亜硫酸塩は一般の赤ワインで150mg/l、白ワインで200mg/lまでが認められています。オーガニックワインではそれぞれ赤ワイン:100mg/l、白ワイン:150mg/lと限度が低く抑えられています。
亜硫酸塩の過敏症の割合は非常に低く、ぜんそく患者の3-10%程度であることが報告されています。そしてそのような人々は毎日ステロイドを必要とするほど深刻な患者である場合が多く、一般の人々に起こる亜硫酸塩に対する不耐症に由来する不調とは異なり、亜硫酸塩に対する反応は呼吸器系のものになります。
また、亜硫酸塩の日本の食品衛生法での規定を見てみると、第11条の厚生省告示第370号 食品、添加物等の規格基準で、酸化防止を目的とした亜硫酸塩の使用基準は0.35g/kg未満です。この数字は成人が長年、日常的にワインを摂取しても健康に害を及ぼさないという判断によるものです。
頭が痛くならないワインはどんなワイン?
以前にワインに詳しい人から「粗悪ワインと良質ワインの差はワインそのものの質もあるけど、含まれている酸化防止剤の差だよ。粗悪のワインには質の悪い酸化防止剤が入っているから頭がいたくなるんだ」という話を聞きました。
今この話を思い返して、今回の生体アミンの話と合わせると、何だか分かったような気がします。
頭が痛くなるワインは酸化防止剤が質か量かそれとも両方が不足して、ワイン内に生体アミンが発生してしまっているのではないか?こんな風に考えました。実際、しっかりしたワイナリーの水準以上のワインを飲んでいて頭痛が起こったことはなかったと思います。泥酔したことはありますが・・・。
それなら、値段が安いワインがだめか?というとそれは正しくありません。私はここ半年ほどコンビニワインを飲みまくっています。セブンイレブンの500円以下のワインも沢山飲んでいます。全然頭が痛くなったことはありません。セブンイレブンのプライベートブランドワインはメルシャンが扱っているので輸入する際もしっかり品質管理がされているのかな、と考えています。
すると、漠然とした表現になりますが、「ちゃんとしたワイン」なら頭が痛くならないとなら言えるのではないでしょうか?例えば当ブログで私がお薦めするワインとか(宣伝です!)。
まとめ
酸化防止剤である亜硫酸塩が頭痛の原因である、ということが間違いであることはあまり知られていません。実際ワインはまり歴25年の私も知りませんでした。亜硫酸塩自体は自然生成でワインに入っているのですが、それでは量的に不十分なために亜硫酸塩を追加するのです。
そして今日の結論はただ安いだけの謎のワインに手を出さないようにしましょう。そんなワインに手を出さなければワインを飲んで頭が痛くなることはありませんよ。ビビっているワイン初心者にはこう言ってあげてはいかがでしょうか?